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横浜市中区、楽しい自動車生活を創り出すお店<ASM>をプロデュースしています。S2000・RECAROを切り口に、色々な話題をお届けします。
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REVSPEED誌が開催するタイムアタックイベントに、2003年以来11年連続して今年も参加してきました。
前日走行枠は午後の30分×2本、テストメニューは以下の通りです。
(1) TODA RACING 2.4Lエンジン GT-13仕様シェイクダウン (2) 横浜ゴム NEOVA AD08R投入 (3) HYPERCO パーチェに合わせた微調整
他にも、11月富士テスト2回目で顕在化した電動パワステとABSユニット問題の対策確認がありました。

1本目。ニューエンジンは予定通りの速さと安定感で、各コーナーの立ち上がりで姿勢が乱れそうなところをギリギリ抑えての走行だったようです。HYPERCOパーチェ追加に合わせて、11月富士テストでの予測からフロント車高を調整したところ狙い通り。1年間使い続けたNEOVA AD08を履いた状態で去年の筑波スーパーバトルでのベストタイムを更新、1分00秒9を記録しました。

2本目。ニュータイヤNEOVA AD08Rを投入しました。大幅にアップした中間トルクの影響で不安定になっていた場面はタイヤグリップで多少改善し、HYPERCOパーチェに合わせたリセッティングも車高に続いて減衰調整して決まりました。筑波サーキット公式計測ポイントでの最高速は去年より3km/h速い187km/hに到達、ニュータイヤ投入でベストタイムをさらに0.6秒更新して1分00秒3に到達です。

ニューエンジン・ニュータイヤを投入して、去年のベストタイムを0.7秒更新。
でも、ここから0.4秒削らないと・・・
・・・・・・・
悩んでいてもタイムアタックの朝はやってきます。

曇り空に因り例年ほど気温は下がりませんでしたが、晴れて無風なので十分に好条件です。例年のASMは条件が良いAクラスまたはBクラスだったのに対して、今年はCクラスでの走行でした。前日テストは2輪走行直後で、4輪に合わないコンパウンドが路面に残っていたため、Aクラス・Bクラスの車両が2輪用コンパウンドを除去してくれると考え、例年通りタイヤウォーマーで狙った温度に調整したタイヤを走行直前に装着し、計測2周か3周目で1分切りを狙うことにしました。

いよいよCクラスの走行です。Bクラスの車両がダンロップ進入〜2ヘア立ち上がりのコーナーリング区間でデフオイル漏れ、Cクラス走行開始後タイミングを計っていたら赤旗中断。もっともタイムを稼ぐポイントでのトラブルと狙っていたタイミングを逃した赤旗中断で嫌な予感がするはずですが何故か心穏やかで、走行再開を待ちます。
NAエンジン×ラジアルタイヤで筑波1分切の瞬間は突然訪れました。

走行再開後コースイン計測1周目、記録した公式タイムは59秒990です。

・・・・・ やった ・・・・・。
今年もTODA RACING製NAエンジンを搭載、11年変わらないASMのこだわりです。

戸田レーシング島田さんは、燃焼の基本要素を現在の視点で改めて見直しました。
・ 吸気システム改良<空気> ・ HKS燃料添加剤<燃料> ・ 新型イグニッションコイル試作品<火花>
これらを前提にしたECUデータはとても効果的で、ベンチ室でデータ製作してくれた戸田レーシング田原さんが自らエンジンを確認しながら、前日テスト1本目⇒2本目⇒タイムアタック当日と徐々に点火時期を進め、レースエンジンコンストラクターらしくタイムをプレゼントしてくれました。

2009年からNAエンジン×ラジアルタイヤを組み合わせ、筑波スーパーバトル1分切りを目指してきました。
・ REVSPEED筑波スーパーバトル2009 ⇒ ラジアルでもNA最速 ・ REVSPEED筑波スーパーバトル2010 ⇒ 今日はいい日だっ・・・た☆ ・ REVSPEED筑波スーパーバトル2011 ⇒ みんなみんなお陰さま ・ REVSPEED筑波スーパーバトル2012 ⇒ REVSPEED筑波スーパーバトル2012
2009〜2010年には空力性能を、2011〜2012年はサスペンション/DREXLER LSDなどシャーシ性能を完成させ、2013年はラジアルタイヤの限界を超えるレベルのエンジンパワーと最新タイヤを組み合わせています。
ダンパーを設計通りに動かすためにHYPERCOパーチェを使ったり、空気抵抗を減らすためにヘッドライト部分にガードテープを貼って段差をなくしたり、センターフロアの補強材にまでカーボンプリプレグを使ったり、ひとつひとつはタイムに影響していなくても、良いと信じた製品やS-GTマシンでの実績ある工夫を積み重ねてた結果が0.01秒に繋がりました。

2004年以来10年間ASM S2000のハンドルを任せている加藤寛規選手は、今年最高の仕事をしてくれました。もちろん毎年ベストを尽くしてくれているのは当然です、10年間いつも車両の限界まで性能を引き出してくれていました。でも、今回は・・・感心を越えて・・・感動です。
ASMは与えられた環境の中でハード面しか用意できないし、車は物理で動きますから持っている能力以上のタイムを出すことはないと言うのが僕の持論です。得意なコーナーリング区間でのコース上オイル漏れや出走タイミングでの赤旗中断など不測の事態が重なる中、アウトラップのダンロップ進入付近までの車の動きからアタックしようと判断して、計測1周目に59秒990を記録です。その後1周クーリングを入れている間にも刻々と路面状況は悪化し、計測3周目のアタック時点では1分00秒161しか出ませんでした。
アタックが1周遅れたら、1分切れていなかったのかもしれません。

ASM筑波スペシャルで2人のレースエンジニアさんからそれぞれ異なるタイムアタックの取り組み方を学び、2009年からは一般ユーザーが理想と感じてくれるS2000作りを目標に、失敗と成功をくり返しながら坂上さん・Aさん(仮名)の他、関係者やお客さん達みんなで手がけ、
レブスピード筑波スーパーバトル史上初、
Sタイヤに続きラジアルタイヤでも、NAエンジンでの1分切りを1番乗りで達成です。
加藤寛規選手、戸田レーシング島田さん、サクシードスポーツ市川さん、チームのみんなと応援してくれた皆さん、ありがとうございました。2013年12月、積年の夢が叶いました。
■ASM筑波スペシャル2013 チームメンバー(順不同)
ドライバー:加藤寛規選手 チーフエンジニア:坂上(ASM) メカニック:松島(ASM)・丸田(ASM) エンジンマネジメント:田原さん(戸田レーシング)
公式タイム 59秒990/公式最高速度 190.577km/h
筑波スーパーバトルの車載映像です。各セクターのベストタイムを合計したベストベストでも59秒8でした。 加藤寛規選手だからこそ、限られたタイヤグリップ・アタック時間・刻々と変化するコンディションの中で、
・エンジンパワー ・サスペンションを含めたシャーシ性能 ・空力性能
を瞬間的に的確にまとめ、ASM S2000の速さを引き出してもらえたと再認識しました。
この記事のURL https://autobacs-asm.com/blog/asm/index.php?mode=res_view&no=2548#myu2548
鈴鹿レポート〜1号車&筑波スペシャル、ダブルシェイクダウン!編〜
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